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【大腸レポート Vol.3】
世界の研究者も注目、「大腸」の最新研究報告より

「大腸」に関心を寄せているのは、一般生活者だけではありません。世界中の研究者が、大腸内に棲息する腸内細菌やその集合体である腸内フローラの働きについて注目。発表される論文数の大幅な伸びからも分かるように、様々な角度から研究が進められています。

解析技術の革新が、腸内フローラ研究への注目を一気に高めた

腸内フローラに関する論文件数推移(*1)によれば、2010年以降「腸内フローラ」に関する論文は飛躍的に増加しています。この背景にあるのは、解析技術の大きな進歩です。腸内細菌の「メタゲノム解析」が可能になり、短時間でより詳細な結果が得られるようになったことを契機に、世界中の研究者が大腸の働きに注目し、様々な働きが明らかになっています。今回のレポートでは、そうした研究から3つの論文をご紹介します。

(*1):世界約70か国、約5000誌以上の文献を検索できる医学・生物学文献データベース「PudMed」検索結果より

「トップアスリートが共通して持つ腸内細菌を発見」

米ハーバード大学の研究者たちにより、トップアスリートが共通して持つ腸内細菌が発見されました。この研究によると、2015年のボストンマラソンに出場したトップランナー15人と一般人10人について、レース前後の2週間にわたり腸内細菌を採取して分析したところ、トップアスリートは一般人と比べ、レース直後に「ベイロネラ」と呼ばれる細菌群が増加していることが明らかになりました。「ベイロネラ」は筋肉を酷使したときにつくられる乳酸を代謝する働きがあり、マラソン中に体内で発生した乳酸を代謝しようと、トップアスリートの大腸内では一般人と比べて「ベイロネラ」の細菌群が増加した可能性が示唆されました。本研究はアメリカの医学誌「ネイチャーメディシン」で発表され、この細菌をマウスに投与したところ持久力が向上したとして、今後サプリメントなどでの実用化が期待されています。

「ビフィズス菌が認知症の前段階である、軽度認知障害の認知機能を改善」

国内でも興味深い研究が進んでいます。2018年3月に認知症を発症する前段階である軽度認知障害の疑いがある人を対象に「ビフィズス菌」の経口摂取による試験が実施され、軽度認知障害と疑われる人の、認知機能を改善する可能性を確認したことを発表しました。

軽度認知障害と考えられるMMSE(*2)スコア22点から26点に該当する方に、「ビフィズス菌」入りのカプセル(「ビフィズス菌A1」 を100億個含有)を1日2個摂取してもらい、摂取前、8週後、16週後、24週後にMMSEによって認知機能評価を行ったところ、摂取前から摂取16週後、24週後のいずれにおいてもMMSEスコアの上昇が確認でき、ビフィズス菌の継続摂取より軽度認知障害が疑われる高齢者の認知機能改善効果が明らかになりました。

(*2)ミニメンタルステート検査(MMSE)
MMSEは認知機能を評価する聞き取り式質問票。認知症のスクリーニングや診断の補助として広く活用されている。総スコア30点満点にて評価され、得点が低いほど認知機能障害を有する可能性が高いとされている。

「乳児期における腸内フローラの形成について」

また、別の研究では、乳児期での腸内フローラ形成やその起源、健康への影響について明らかになりました。近年、乳児期の腸内フローラの形成がその後の健康を左右することが解明され、乳児期に良好な腸内フローラが形成されないと、その後病気にかかりやすくなる可能性があることが報告されています。同試験では腸内フローラ形成に影響を与えるものとして、在胎期間や分娩形態、授乳形態など様々な環境因子による影響を受けることも明らかになりました。

今回ご紹介した論文だけでなく、世界中で腸内環境と人体の関係、大腸のもつ可能性について、次々と興味深い成果が発表されており、これからも「大腸」から目が離せない状況は続くと考えられます。

【参考情報】
・ネイチャーメディシン
一流の運動選手の成績と腸マイクロバイオームとの結び付き
https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/12993

エリートアスリートのメタオミクス分析は、乳酸代謝を介して機能するパフォーマンスを向上させる微生物を特定します
https://www.nature.com/articles/s41591-019-0485-4

・森永乳業株式会社
~日本農芸化学会 2018年度大会発表内容の報告~
「ビフィズス菌A1(Bifidobacterium breve A1)」が 軽度認知障害が疑われる方の認知機能を改善する可能性
https://www.morinagamilk.co.jp/archives/007/201803/180322A1.pdf

・化学と生物
乳児腸内フローラの形成機構 生涯の健康状態を左右する重要なイベント
https://katosei.jsbba.or.jp/download_pdf.php?aid=966

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